ハウツーガイド
クライアントポータルの構築方法

クライアントとの関係においては、ブリーフ、契約書、リサーチ資料、下書き、複数回にわたるフィードバック、最終ファイル、請求書など、絶え間なく資料が発生します。これらをメールやさまざまな共有リンクで行き来させていると、クライアントからすでに送信したものを再度求められたり、再送するためにスレッドを掘り返す羽目になったりします。
このページでは実用的な構築手順として、Fabricで1社向けのポータルをステップ・バイ・ステップで設定し、次のクライアントにも再現する方法を解説します。ポータルに含めるべき内容や運用方法に関する全体的な考え方については、クライアントポータルの設定方法をご覧ください。
フリーランスや制作会社が通常クライアントとファイルを共有する方法
多くの場合は、クライアントごとにGoogle ドライブやDropboxの共有フォルダを用意することから始めます。馴染みがあり、コストもほとんどかかりません。しかし、長期の案件になるとフォルダ内は下書きや重複ファイル、「final_v2」といった名前のファイルで溢れかえり、社内用の作業ファイルとクライアントに見せるべきものが混在して権限管理が煩雑になります。また、フィードバックはファイルとは切り離されたメール上で行われがちです。
一部のチームでは、クライアントごとにNotionなどのプロジェクトツールを使い、リンクや進捗状況をまとめたページを作成しています。見た目はすっきりしますが、クライアント自身がそのツールを使っていないことも多く、相手側でのアクセスや編集が扱いづらかったり、ファイル自体は別の場所に保管されていたりします。
専用のクライアントポータルソフトウェアは、ファイル共有に加えて請求書発行、フォーム、メッセージ機能などがセットになっています。これらをすべて1つの製品で完結させたい制作会社には適しています。しかし、小規模なスタジオやフリーランスにとっては、また新たなサブスクリプション費用が発生し、クライアントごとに新しいログイン方法を説明する手間が生じる上、実際の制作作業を行う場所とポータルが分かれてしまいます。
ステップ 1: クライアント専用のスペースを作成する
Fabricで、そのクライアント専用の新しいスペースを作成し、クライアントの名前を付けます。このスペースにより、そのクライアントの資料を他のクライアントや社内作業と分けることができ、次のステップで共有する対象となります。
スペース内に、シンプルなフォルダ構成を追加します。一般的なレイアウトは、「ブリーフ・契約書」「作業中」「レビュー用」「最終納品物」です。階層は浅く保ちましょう。クライアントにとっては、深い階層ツリーよりも分かりやすい少数のフォルダのほうが扱いやすいためです。
手元にある資料を移動します。ファイルをドラッグするか、「ファイルをアップロード」を使用するか、Fabricデスクトップドライブ経由でスペースにコピーします。進捗を視覚的に追跡したい場合は、作業フォルダをカンバン表示に切り替え、各ステージをカラムにし、ファイル自体をカードとして利用します。
ステップ 2: スペースをクライアントと共有する
クライアントの担当者とスペースを共有します。相手にはそのスペースのみが表示され、Fabric内の他の部分は見えません。これがポータルの要となります。クライアントに自社のファイルのみへのアクセス権を付与する方法では、この手順についてさらに詳しく解説しています。
各担当者のロール(閲覧者、コメント権限者、編集者、管理者)を選択します。ロールはスペース単位だけでなく、ファイル個別にも設定できるため、クライアントに対してレビュー用フォルダにはコメントを許可し、契約書は閲覧のみに限定するといったことが可能です。社外のユーザーはアカウント登録なしで共有リンクを利用できます。各ロールで可能な操作については、ロールと権限で説明しています。
自社チーム専用の資料がある場合は、別の社内スペースで管理してください。そうすることで、機密情報が誤ってクライアントのスペースに紛れ込むのを防ぐことができます。
ステップ 3: ポータル内でフィードバックを収集する
下書きの準備ができたら、レビュー用フォルダに入れます。コメント権限を持つクライアントは、成果物に直接コメントを残すことができます。動画や音声へのタイムスタンプ付きコメントやビデオフレームへの描画、画像への描画付きコメント、テキストファイルのハイライト付きコメントなどが可能です。
各コメントは完了としてマークできるため、各回のフィードバックをチェックリストとして活用できます。対応済みのものと未対応のものが双方に明確に伝わるため、確認メールの往復を減らすことができます。スレッド形式のコメントやアクティビティ履歴など、その他のコラボレーション機能は、クライアント側の担当者が複数人いる場合に役立ちます。
ステップ 4: 公開リンクで最終ファイルを納品する
引き渡しの際は、「最終納品物」フォルダを公開します。「共有」をクリックして「公開」タブを開き、「リンクを作成」をクリックします。リンクに名前を付け、ダウンロードを許可するかどうかを選択し(すべてのプランで利用可能)、検索エンジンによるインデックスを許可するかどうかを決定します。フォルダはウェブページとして公開され、Fabricでファイルを編集すると公開バージョンも更新されます。
ProプランおよびTeamプランでは、フォルダにパスワード保護を追加できます。開いたユーザーはパスワードを入力し、アクセスは6時間有効です。パスワードのリセット機能はないため、パスワードマネージャーで管理してください。リンク作成時にリンク分析をオンにすると、各アクセスの日時、場所、デバイスとともに、アクセスの推移を確認できます。Proプランでは独自ドメインでの公開も可能です。
ステップ 5: チーム向けにクライアントの履歴を検索可能な状態に保つ
ブリーフ、下書き、フィードバック、最終成果物が1つのスペースに集約されているため、AIアシスタントがそのアカウントに関する質問に答えることができます。スペース内のフォルダを開き、たとえば「第2ラウンドでクライアントがカラーパレットについて何と言っていたか」などを尋ねることができます。AIはそのフォルダ内のみを参照し、情報源を引用して回答します。クライアントとのミーティング録音も同じスペースに保存できます。クライアントワーク向けFabricでは、チームがこれをどのように活用しているかを紹介しています。
次のクライアントと契約した際は、同じフォルダ構成で新しいスペースを作成し、そのクライアントと共有するだけです。各ポータルは完全に分離された状態が保たれます。
よくある質問
クライアントポータルとは何ですか?
クライアントが他のクライアントの成果物を見ることなく、自分たちのプロジェクトのファイル、最新情報、納品物を確認し、フィードバックを行えるプライベートな専用スペースのことです。
クライアントはFabricアカウントがなくてもポータルを利用できますか?
はい。社外のユーザーはアカウント登録なしで共有リンクを利用できます。
クライアントが自社のファイルのみ閲覧できるようにするにはどうすればよいですか?
そのクライアント専用のスペースを作成し、そのスペースのみを共有してください。クライアントにはそのスペースのみが表示され、あなたのワークスペース内の他のものは一切表示されません。
クライアントはポータル内のファイルにコメントできますか?
はい。コメント権限または編集権限を付与すれば可能です。動画、音声、画像、テキストにコメントでき、コメントを完了としてマークすることもできます。
クライアントへの納品物をパスワードで保護できますか?
はい。ProプランおよびTeamプランで利用可能です。フォルダを右クリックするか、3点リーダーのメニューを開いて「パスワード保護を追加」を選択します。
クライアントが最終ファイルを開いたかどうかを確認できますか?
公開リンクのリンク分析(ProおよびTeam)を使用すると、訪問の日時、場所、デバイスを確認できます。分析には訪問者の名前は表示されないため、特定の人物を識別したい場合は、担当者ごとに個別の名前付きリンクを発行してください。
ポータルに独自ドメインを使用できますか?
Proプランでは、公開画面のドメイン選択から設定することで、公開リンクにカスタムドメインを使用できます。
Fabricでクライアントポータルを運用するにはどのくらいの費用がかかりますか?
ダウンロードオプション付きの公開機能は無料プランに含まれています。パスワード保護、分析機能、カスタムドメインの利用には有料プランが必要です。Teamプランの料金はシート単位(ユーザー数ごと)ではありません。詳細はチーム向け料金プランをご覧ください。